クラリネット・ソナタ第1番へ短調
ブラームスのクラリネットソナタop.120の第1番
晩年にいたり、ブラームスは創作意欲の衰えにより一度は作曲活動を中断するが、1891年に知り会った名クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトの演奏により再び創作意欲を取り戻し、クラリネット三重奏曲op.114(1891年)、クラリネット五重奏曲op.115(1894年)、さらにこのクラリネットソナタop.120と、クラリネット作品を立て続けに作曲した。このクラリネットソナタop.120の2曲はその中でも最後に書かれた作品で、ブラームスによって完成された最後のソナタ作品でもある。
クラリネット・ソナタ第1番へ短調の構成
4楽章形式。 1894年
第1楽章、アレグロ・アパッショナート
へ短調、ソナタ形式。
内に秘められた感情が、しみじみとした情景を形造り、暗いさびしさが曲の内側に静かに流れている。
第2楽章、アンダンテ・ウン・ポコ・アダージョ
変イ長調。
クラリネットの流れるような旋律、ピアノの単純な響きが印象的。透明な美しさにあふれている。
第3楽章、アレグレット・グラツィオーソ
イ長調、三部形式。舞曲風であるが、澄んだ明るさも持つ。
第4楽章、ヴィヴァーチェ
へ長調、ロンド形式。曲は軽快に無邪気に動き回るが、寂しさは消えない。